テニス部に参加するエスピックの島至社長(前列中央)
写真特集

 1990年代には8割を超える企業が実施していた社員旅行が、近年5割を切る実施率となっている。若者のプライベート重視傾向などが要因だ。そんな中、ソフトウエア開発の「エスピック」は、社員を挙げての旅行やイベント、部活動などに積極的に取り組んでいる。競争の激しいIT分野で、創業50年を迎えた同社の狙いを探った。

 「エスピック」は1967年、「島計算センター」として創業。ソフトウエア開発から金融機関向けの開発支援、医療・物流向けのシステムインテグレーターとして業績を拡大。現在従業員数260人、売上高22億円となっている。島至社長は「システムも商品もすぐに陳腐化するが、人だけは陳腐化しない」といい、「Good People Company」を経営理念としている。その具体策として2年に1度の海外への社員旅行、社内での部活動といったレクリエーションに力を入れている。

 産労総合研究所の調査によると、「余暇、レクリエーション行事」として社員旅行をした企業は94年に約89%だったが、2014年には46%と半減。プライベートを重視する若者が増え、企業でのコミュニケーションも変化しつつある。

 だが、同社では旅行が趣味という島社長の発案で創業20周年、30周年で海外への社員旅行を実施した。「その2年後に、『社長、今年は32周年ですよ』と社員から言われて、2年ごとになった。直接仕事うんぬんというより、海外旅行で社員の視野が広がってくる」と語る。

 テニスや野球、登山、軽音楽などの「部活動」も社内で展開している。島社長自身もテニス部に所属。「テニス部に行けば私も一部員。社長と新人が仕事で接することはほとんどないが、テニスでは僕よりうまい新人がいたりして、年齢も役職も違う社内の人脈ができる」と評価する。

 入社3年目で介護関係のシステム運用を担当する須長節之さんは海外旅行や部活動にも参加し、「他部署の方とも仲良くなる機会なので、コミュニケーションの輪が広がったと思います」と語る。

 根っこにはこんなことがある。2代目である島社長が就任前、会社の整理を検討するほどの業績悪化に陥った際、約30人の社員に会社の状態を説明し、徹底して話し合ったという。「翌年社長になった1年目には黒字に転換し、3年目には会社の規模は倍になっていました。だから、社員が一つにまとまるとこんなにパワーを発揮できる」と実感したという。

 産労総合研究所の調査では、社内イベントの企画・運営で「部門を超えた横のコミュニケーション活性化の場につながる」(81.8%)、「上下関係におけるコミュニケーション活性化につながる」(46.3%)、「若手の人材育成の場となっている」(21.5%)との評価がある。社内でのこうした活動が新たな活力を生むか、注目だ。